Webサイトの成果を可視化する報告テンプレートの紹介
エムハンドでは複数の自社サイトを社内で運用しています。
運用業務は情報の更新・発信をはじめ、定期的な改修や広告運用など多岐に渡りますが、中でも意外と悩ましく感じるのが「Webサイトの成果報告」です。実際にクライアントからも「Webサイトの成果報告はどのような内容にするべきなのか」というご相談をよくいただきます。
このお悩みに応えるため、今回はエムハンドのWebサイトの成果報告内容をご紹介いたします。
■目次
理想的なWebサイトの成果報告に必要な内容とは何か
はじめに、理想的なWebサイトの成果の報告内容を考えていきます。成果の報告内容、つまり成果をどのように可視化するか、ということです。
データの引用に限った報告は実情と乖離する
よくあるのはGoogle Analytics(GA)をはじめとするアクセス解析ツールのデータを引用する手法です。GAで記録されたユーザー数やアクセス数、問い合わせ数などを報告します。
しかしこの場合、最も重要な指標である問い合わせ数は概ね実情と乖離します。
例えば以下のような状況が考えられます。ここでのWebサイトの成果とは「新規相談の獲得」です。
GAベースの報告
先月は問い合わせ数が10件だった。今月は12件に増加した。
実情ベースの報告
先月は問い合わせ10件のうち営業が4件、新規相談が6件だった。今月は12件のうち営業が8件、新規相談は4件に減少した。
当然ながらGAのデータだけで問い合わせの内容までは判別できません。成果が向上しているように見えても、実情では低下しています。
理想的な成果報告にはデータと実情がいずれも必要
このような状況下で実情を一切加味しない、GAデータの引用に限った報告ではWebサイトの成果を可視化できているとはいえません。かといって実情に限定しても不十分です。問い合わせしたユーザーの流入元や問い合わせ率など、GAのデータも必要です。
つまり理想的なWebサイトの成果の報告に必要なのは、データと実情のいずれにも基づいた情報です。
運用担当の視点では、Webサイトの解析を通じたデータの報告が基本になりますので「実情を加味したデータ上の成果や傾向」の報告が望ましいと考えます。
では具体的にどのような報告内容になるのか、エムハンドの実例を紹介していきます。
エムハンドの報告内容
現在、エムハンドでは月に1回の頻度でWebサイトの成果を報告しています。成果とは「エムハンドのWebサイトを通じて発生した、サイト制作の新規相談」を指します。
以下の内容を各担当チームが一堂に報告します。
GAのデータに基づく成果と市場の傾向
Webサイトの解析を担当するマーケティングチームが報告します。「Webサイト内の動向」が基本的な担当領域です。
実情に基づく成果と市場の傾向
問い合わせ発生後の初動対応を担当するインサイドセールスチームと、初動対応後のヒアリングと提案を担当するディレクターチームが報告します。「新規相談の内容」が基本的な担当領域です。
エムハンドの報告テンプレート
以下の3種類をテンプレートで報告しています。
- 獲得リード一覧表
- 月間サマリーレポート
- 月間推移レポート
獲得リード一覧表
作成・報告担当:インサイドセールスチーム、ディレクターチーム
実情ベースの獲得リード状況です。どのような相談を受けて、どのような結果に至ったかをまとめています。
エムハンドは集客エリアや、ターゲットの業種に応じた特設サイトを設けているため、どのサイト経由で問い合わせが発生したのかも記載しています。
初動対応の情報
インサイドセールスチームが担当します。
- 担当者名
- クライアントの所在地
- 問い合わせが発生したサイト
- クライアント名
- 問い合わせの概要(新規制作、リニューアルなど)
- 予算感
- 対応内容
ヒアリング、提案の情報
ディレクターチームが担当します。
- 担当チーム、担当者名
- 要件の難易度
- 受注確度
共通の情報
インサイドセールスチームとディレクターチームのいずれかが案件の進行状況を記載して報告しています。
月間サマリーレポート
作成・報告担当:マーケティングチーム
GAのデータを引用してWebサイトのアクセス状況を月間ベースでまとめています。以下の3種類のレポートで報告します。
チャネル別レポート
流入元ベースで以下の指標をまとめています。
- ユーザー数
- エンゲージメント率
- コンバージョン数
- コンバージョン率
なお、コンバージョン数とコンバージョン率に限っては実数値ベースです。フォームを通じた営業等は除き、実際に発生したリードをGA上で照らし合わせて記載しています。
広告レポート
Web広告の費用対効果を検証するため、別枠として以下の指標をまとめています。
- クリック数
- クリック単価
- 費用
- コンバージョン単価
コンバージョン単価もチャネル別レポートと同様に実数値で算出しています。
広告の副次効果レポート
GAのデータでは関連性が見られなくとも、広告の出稿期間中に他の流入元からの問い合わせが増えることはよくあります。
この可視化できない広告からの副次的な問い合わせ数を、エムハンドでは暫定的に算出しています。「副次的なコンバージョン数」として以下のように定義しています。
(副次的なコンバージョン数)=(当該月のコンバージョン数)-(広告を出稿していない期間の月間平均コンバージョン数)
月間推移レポート
作成・報告担当:マーケティングチーム
月別、流入元別の実数値ベースの問い合わせ数をまとめています。少なくとも1年以上データを蓄積することで、このレポートは効力を発揮します。
問い合わせが発生する機会の傾向を可視化する
月ごとの問い合わせ発生の機会に傾向を見出すことができます。当然ながら見出せない場合もありますが、BtoBのサービスでは一定の傾向を確認できることが多いように感じます。
傾向がわかれば翌月以降の問い合わせ数をある程度予測できるようになります。予測の共有とそれに応じた集客施策の提案ができれば報告内容の価値が高まります。
集客施策の成果を可視化する
SEO対策やSNSを通じた発信などの継続的な集客施策が功を奏すると、その効果は徐々に顕れます。レポート上では問い合わせ数の最低・最高ラインが上がるイメージです。
このレポートを併用することで、より具体性のある成果の報告ができます。
▼ エムハンドで使用している月間推移レポート
おわりに
今回ご紹介したWebサイトの成果報告は、運用業務に対する社内の理解促進にも貢献します。例えばWebサイトに掲載するコラムの作成を社内に依頼する際には、コラムを作成する意義も共有する必要があります。意義とは「コラムを作成することでどのような成果が期待できるのか」ということです。
ここで大いに役立つのが成果報告テンプレートです。コラムの更新や発信が功を奏していれば、その成果は必ず可視化されています。ある程度の説明は必要ですが、基本的には表とグラフの共有で完結します。
成果を共有することで必ず協力を得られるとは限りませんが、少なくとも運用業務に対する社内の理解は進みます。運用担当の方の一助となれば幸いです。
広告戦略を元に、クライアントの課題解決に向けたプロモーション活動を提案・実行します。