これからの採用サイトには何が必要なのか
求職者の大半がWeb上で情報収集する昨今において、採用サイトの重要性は非常に高くなっています。一昔前はコーポレートサイト内に設ける「採用ページ」としての扱いが主流でしたが、近年では独立した「採用サイト」としてエムハンドでもご依頼いただく機会が増えました。
この流れが続けば、いずれはWeb集客市場のように採用サイトが乱立し、競合との強い差別化が重要になります。では強い差別化をするためには採用サイトに何が必要なのか。今回は採用サイトのコンテンツや導線などの設計の視点から考えていきます。
■目次
採用サイトのトレンドコンテンツ
まずは採用サイトのトレンドを抑えておきましょう。最近の採用サイトで見かけるようになったと感じるコンテンツを挙げていきます。
早わかりコンテンツ
企業情報を短時間で理解できるコンテンツです。
コンテンツ例
- 〇分でわかる〇〇
- 数字でわかる〇〇 など
求職者が多くの企業を調べる過程において、短時間で理解できるコンテンツの重要性は高いです。
同時に、これらのタイトル名はコンテンツを読むハードルも下げる視覚的な効果があります。例えば「5分でわかるエムハンド」「数字でわかるエムハンド」のような名称は「このコンテンツは早く、わかりやすく読み進めることができるんだな」という期待をユーザーに抱かせることができます。
座談会
複数の社員が特定のテーマについて議論した内容を紹介するコンテンツです。部署や役職の異なる社員同士の組み合わせが多く「クロストーク」という名称になることもあります。
登壇する社員例
- 若手社員
- 中途採用社員 など
テーマ例
- 入社を決めた理由
- 入社前後の企業に対する印象 など
基本的には新入社員が登壇します。求職者に近い視点の会話により共感が生まれ、入社後のイメージを想起させることができます。
また、会話形式で掲載するため、通常の文章コンテンツに比べて読み始めやすい、読み進めやすいと感じる求職者も多いと考えます。
採用サイトのトレンドコンテンツをどう捉えるべきか
これらのコンテンツは最近見かけるようになったと感じるコンテンツです。2023年9月現在、非常に多いという感覚はありません。
特に座談会は社員が参加し、多くはその様子を撮影してサイトに掲載するリッチコンテンツです。その分のコストが上積みされるため、容易に制作できるものではありません。
差別化できるコンテンツとして成立している
だからこそ現在、これらは競合と差別化できるコンテンツとして成立しているように感じます。主に以下の観点から差別化できていると考えます。
求職者の目を引く
早わかりコンテンツや座談会がある採用サイトは現時点では珍しいため、求職者の目を引きます。
求職者が読み進めやすい
先述の通り、早わかりコンテンツと座談会はいずれも理解を促す仕掛けがあるため、求職者が読み進めやすいコンテンツです。読み進めた求職者は企業理解が深まります。企業理解が深まれば、競合他社との違いを求職者は認識します。
その一方で効果が見込めるコンテンツは必ず普及します。するとどうなるのでしょうか。
トレンドコンテンツに依存するリスク
近い将来、これらは求職者に訴求するための一般的なコンテンツになる可能性があります。サービスサイトで例えると「実績情報」「お客様の声」のイメージです。
欠かせない情報に変わりはないものの求職者の判断材料のひとつとして訴求力が低下し、現在のようなパフォーマンスは期待できなくなる恐れがあります。
必要なのはコンテンツの追求を継続すること
重要なのはこれらのコンテンツを将来的に見限る決断ではありません。あくまでも採用サイトに必要な要素のひとつとして認識し、差別化するための必勝法のような扱いはせずに依存しないことです。
コーポレートサイトやサービスサイトのように採用サイトもまた、競合との差別化に必要なコンテンツを常に追求し続けなければなりません。
今後の採用サイトに必要な2つの視点
以上を踏まえて、今後の採用サイトには何が必要なのか具体的に考えていきます。現在の採用サイトではあまり見ないものの、効果が期待できる2つの視点を紹介します。
コーポレートサイトとの連動
コーポレートサイトは顧客向けの役割として、切り離して考えられることが多いように感じます。しかし求職者の多くはコーポレートサイトも確認します。企業理解を深めようとする求職者ほど、採用サイトと同時にコーポレートサイトもよく確認します。
そのため、採用サイトとコーポレートサイトはある程度連動させる必要があります。特に以下の2点は重要です。
企業メッセージの一貫性
コーポレートサイトで提示している企業理念をベースに「だから、求職者にはこのようなことを求めている」という一貫性のあるメッセージが採用サイトには必要です。
若年層を意識するあまりメッセージに「キャッチー」「衝撃」などを重視し、コーポレートサイトに掲載している企業理念との一貫性が到底感じられない内容になっては本末転倒です。必ずコーポレートサイトを意識したメッセージにしましょう。
実績情報への導線
コーポレートサイトに比べて採用サイトは掲載できる実績情報に限りがあります。しかし求職者の多くは「その企業に入社し、どのようなことができるのか」をイメージするため、実績情報をできるだけ多く確認したいと考えているはずです。
コーポレートサイトに実績情報を掲載している場合は採用サイトからの導線となるリンクを設けていると、求職者にとっては有用な誘導になります。
社内の仕組みを具体的に明かす
働きやすさを訴求する場合、例えば社内制度の紹介と、その制度を利用した社員インタビューなどの手法が挙げられます。しかし、これらの手法は大半の企業が用いています。求職者にとって「採用サイトには当たり前に存在している」認識を抱かれている現状では競合との強い差別化が期待できません。
ではどうするべきなのでしょうか。ひとつの手法として、制度の具体的な内容の提示が挙げられます。
現在、この具体的な内容の提示に踏み込んでいる採用サイトは極めて少ないため、提示するだけでも差別化が期待できます。また、具体性の提示は説得力が生まれます。エムハンドの採用サイトを例に挙げます。
業務フローを紹介するコンテンツ
エムハンドが構築した「制作フロー」を紹介するコンテンツです。全社員が一定の品質でWebサイトを制作するためのフローと、そのフローを管理する仕組みについて紹介しています。
利益率の算出方法を紹介するコンテンツ
利益と制作物の品質のバランスを加味して構築した「予算配分」を紹介するコンテンツです。この予算は、社員が目安とする「適正な制作時間」のベースとなります。予算から適正な制作時間を算出する仕組みについても解説しています。
業務改善するための仕組みを紹介するコンテンツ
業務を改善するための社内制度を紹介しています。業務上の課題は分類に応じて改善フローが変わるため、このフローについても具体的に公開しています。
ただし、これらを公開するためには前提として社内でその仕組みが確立している必要があります。
「仕組みを構築する」だけでは足りません。構築して間もない仕組みは、うまく現場で機能しません。多くは課題が発生します。課題改善を繰り返し、現場に浸透していきます。導入間もない現場に、仕組みに対して強い期待を抱いた社員が入社すると、ギャップが生じてすぐに離職してしまう恐れもあります。ある程度は軌道に乗った仕組みを公開しなければなりません。
おわりに
一昔前はWebサイト内の下層ページ扱いであった採用情報が、近年では独立した特設サイトとして制作される機会が増えました。しかしコーポレートサイトやサービスサイトに比べるとその数はまだ少なく、差別化の難易度も比較的低いといえます。
そのため競合との差別化に関する考察はまだ浅く、開拓できる余地が多くあるように感じます。競合の採用サイトがさらに増えていくことを見越して、差別化するためには何が必要なのか常に探求していきましょう。
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