はじめに
歯科医院を取り巻く環境は変化の只中にあります。
マクロ視点では歯科医師の増加と歯科医院の供給過多が指摘されており、ミクロ的に見れば、日本人の口腔環境の意識変化に伴い歯科医に求められる役割が、修復治療から予防歯科へとシフトしています。
こうした変化に対していかに流されず、そして取り残されずにいるか。それは今後の歯科経営における課題になるのではないでしょうか。
この課題を解決するための一つの手立てに、ブランディング施策があります。
ブランディングは何も一般企業だけのものではなく、これからの歯科医院にとっても不可欠な要素となりつつあるわけですが、何か対策を取られていますでしょうか。
こちらでは歯科医院のブランディング戦略について、その進め方と役割を解説します。
なぜ歯科医院のブランディングが必要か
なぜ歯科医院にも一般企業と同じようにブランディングが必要なのでしょうか。
歯科医院のブランディングとは何か?
理由はいろいろありますが、もっとも重要なのは自らの医院における経営力を強化するためです。
ほかの歯医者さんとの差別化を図り、患者さんに選ばれやすくなるために行うのがブランディングであるという考え方もありますが、それらをすべて包括した概念が経営力です。経営力を高めるためにブランディングを行う必要があります。
歯科業界における競争激化のため
冒頭でもお話ししましたが、歯科経営を取り巻く環境は変化の只中にあります。
こうした状況の中、従来型の患者を待つ営業から患者を獲得しにいく営業へ、経営方針のかじ取りが求められるのも時間の問題です。
競争の激しくなった歯科業界で、これからの集患のために不可欠の要素とされるのがホームページと、歯科医院のブランディングなのです。
患者に「選ばれる」歯科医院になるため
過去にとらわれず、今に固執せず、将来を見据えてしっかりとした経営基盤を作っていく。
現状足りないもの、将来目標とすべきもの、未来を見据えて、現状を分析し、不足を補っていく。
選ばれる歯科医院となっていくために、ブランディングを意識して魅力的な歯科医院を作っていかなければなりません。
歯科医院のブランディング、そのコツとは
ブランディングをホームページ上で行っている実際の歯科医院を見ていきましょう。
ほかの医院との差別化は必須
きれいなホームページはたくさんあります。それゆえデザインそれ自体、差別化の要素としては弱いです。
差別化を図るために必要なのはコンセプトです。
ホームページでブランディングを行っていくためにも、地域に根差した歯科になりたいのか、小児歯科に力を入れているのか、審美・美容、矯正に力を入れているのか。差別化するためのコンセプトが必要になってきます。
歯科医院のブランディング成功例
実際に事例を見ていただくとわかりやすいかもしれません。
【ペエ歯科クリニック】http://pae-dc.com/
こちらはアイコンや曲線を使いながら、全体的に柔らかく、かわいらしい構成になっています。差別化という意味で、独自色が出ています。患者にとって安心して通える歯科と思えるような雰囲気です。
【降矢歯科クリニック】http://www.shika-furuya.com/
地域の皆さんの笑顔と健康を守る歯医者さん
をキャッチコピーに使用。はっきりコンセプトを打ち出すことで差別化を図っています。
【横浜ゆうみらい小児歯科・矯正歯科】http://yuumirai.com/
TOPページでアニメーションを使用、フォントも大きく「小児歯科」らしさが随所に見られます。オリジナリティがあるデザインでブランディングを意識していることがわかります。
【ALIGN COUTURE DENTAL OFFICE】http://align-cdo.com/
インパクトのあるメインビジュアル、ページが切り替わる際のアニメーションなど、豪華さが審美歯科に求められる高級感を感じさせる作りになっています。こちらもブランディングが強く意識されています。
ブランディングの型を紹介
どういった方向性でホームページ状でブランディングを行っていくか。歯科医院についてはある程度型があるので、参考にしてみてください。
<ビジュアル面で表現>
- 多色を使わずシンプルデザインですっきりまとめる
→清潔感や安心感を演出
- ビジュアルやアイコンにちょっとした動きをつける
- 写真の切り取り方など個性を出す
- 柔らかい色使いやイラストを使う
→親しみやすさを演出
<テキスト・キャッチコピーで表現>
- TOPページに医院のコンセプトを書く
- 社会貢献活動の履歴などをコンテンツに掲載
→信頼感を演出
- オリジナルのフォントを使う
→親しみやすさを演出
- 治療の不安をケアする豊富なコンテンツを作成
→安心感を演出
そのほか、ブランドを明確化する戦略として小児歯科、審美歯科、矯正歯科といった形で方向性を出すテクニックもあります。
歯科医院のブランディングとホームページの役割
院長のマネジメントが重要
さて、ブランディングに必要なホームページをどのようにして作っていくかですが、院長自身がすべての方針を決め、進めていくのは少々危険です。
その理由として院長の業務量が激増してしまい、通常業務にも支障をきたす可能性が高いからです。
医院の特徴、強みなどスタッフや既存患者へのアンケート、ヒアリングを行い明確にしていきましょう。その意見を集約し、スタッフとディスカッションなどしながら、収斂させていきます。
このプロセスを経ながら、歯科理念やストーリー、デザイン、ロゴマークといったホームページの各要素を固めていき、ブランドらしさが出ているホームページ作りを進めていくとスムーズです。
ホームページがブランディングに果たす役割とは
ホームページには画像や動画、テキストやキャッチコピーといったさまざまな要素があります。こうした要素は清潔感、安心感、親しみやすさ、高級感などを表現する手段となり、見ている人にそのメッセージを伝えます。
歯科医院のコンセプトや治療方針などが一貫してわかりやすく掲載されていれば、ホームページを見ている人に医院の考え方や方針が伝わりやすくなります。ホームページは医院のブランディングに大きな役割を持っているのです。
まとめ
ホームページを作る際の課題は、医院がどのような分野を得意とし、どんな方針があるのかをいかにわかりやすく伝えるかになります。
それを明らかにしていくプロセスを大切にしていけば自然とブランドらしさが見えてきますので、じっくりと時間をかけながら進めていくと良いでしょう。