桜が終わり、5月に突入すると学生の就職活動が本格化しますが、ちょうど去年の今頃、歯列矯正中の女子就活生を見かけました。
きっと就活の最終局面や就職に向けて「歯並びを直したい」という思いで治療中なんだろうなあと思うと同時に「就活が始まる前に終えられたらよかったのに」とも思ったのを覚えています。
歯に関する治療はいまだに“必要に迫られてから”しかしないという方が多い日本ですが、歯列矯正ばかりは“急いで”するには不向きな治療です。
今回は「歯列矯正を始めるタイミング」をポイントに、患者さんやその家族が歯列矯正に対して抱いている価値観を高め、治療を決断するための敷居を低くし、ベストなタイミングで治療を始められるように歯科医院ができる提案を考えてみましょう。
「歯の見た目」に対する重要性から小児矯正の集患へ
40代の上司250人を対象にした「職場の残念な女トップ10」という調査では、
- 1位 口臭がきつい女 57%
- 2位 歯が汚い女 46%
とお口の中に対する評価がワンツートップとなっています。
男性と比べて女性の場合は歯がタバコのヤニで汚いということも少ないでしょうから、「歯が汚い」の中には「歯並びが悪い」というのも多分に含まれているのでしょう。
歯並びに比較的無頓着な日本人でさえ気にするのですから、「良い歯並びはエリートの身だしなみ」と考える欧米外資系の企業では、同じ優秀さの学生であれば、「歯並びが良い人を採用する」というのは当然のことでしょう。
矯正器具をつけていることで就活が不利になることはあまりないようですが、歯並びが悪いことで不利になる可能性はあるかもしれません。
また、本人の自信のためにも、歯列矯正をするなら、できるだけ就職活動が始まる前までに終わっておきたいものです。
小児矯正の集患に向けた提案1:
歯並びが悪いことは就職活動時に不利になる恐れもあります。
特に外資系企業や海外転勤の可能性が高いグローバル企業に入社を希望する場合は、歯列矯正は必須と考えたほうがよいでしょう。
小児矯正はいつから行うのがよいか
歯列矯正の期間は諸々の条件でまったく変わりますが、仮に大人の矯正が平均2年はかかるとします。
この場合、就職活動に間に合うように大学3回生の春に終わっていようと思えば、おのずとす大学1回生の春より前から始めるべきとなります。
個人差もありますが、中高生ならさらに矯正期間が短くなる可能性が高いかもしれません。
つまり大雑把にまとめてしまうと、「子供さんの歯列矯正は中高生のうちにやっておくのがおすすめです」となります。
歯科的見地から見ると、矯正は永久歯が生えそろった後(12歳前後)に行うのが一つのタイミングと言えます。
そうすると、おのずと小学6年生ごろから中学1年生ごろになります。
中学入学は子供たちにとっては環境が一新する機会ですので、心身の負担を考慮して卒業や入学といったイベント時を外し、ちょうど環境に慣れた5月ごろを目処に始めるというのがいいのではないかと思います。
中1の5月から始めて、早ければ半年から1年、長くても2年の春には終わり、高校受験に入る前には笑顔に自信の持てる状態になれるわけですから、本人の歯ライフプランとしてもベターチョイスなのではないでしょうか。
もちろん、高1から始めてもよいのですが、高校生にもなると思春期を通り越して自意識の塊のような年頃ですので、歯列矯正自体を恥ずかしがったり面倒がったりで拒否したり、「ワイヤーが見えないようにして!」など、お金と手間のかかる主張をしてきたり、主導者である親としては不都合が生じることも多々あるのです。
その点、子供の延長線上にある中1ぐらいであれば、まだ親のコントロール下で歯列矯正が進めやすいのではないかと予想します。
また、上顎前突や反対咬合など、子供の歯の状態によっては早い段階から歯科医師と相談し、成長に合わせて矯正のタイミングを見計らう必要があるケースもあります。
いずれにせよ、日々歯科に通う中で相談していくようにするとよいでしょう。
小児矯正の集患に向けた提案2:
子供の歯列矯正を始めるおすすめタイミングの一つは永久歯が生えそろって安定した中1の5月ごろです。
中学生活に慣れた頃に始めて高校受験が本格化する前に終えるのがよいでしょう。
小児矯正の費用をどう捻出するか
歯列矯正を行う際に一番のネックとなるのが費用です。
これも個人、医院、方法によってかなりの違いが出てくるでしょうが、平均的な金額として仮に100万円として考えてみます。
お金を出す親はこの100万を子供が何歳のときに拠出できるかというプランを立てなければなりません。
高校に入ると私立高校に通う可能性も出てきます。
また、姉妹兄弟がいる場合は、長女長男が高校入学以降、末の子供が大学を出るまでどんどん費用がかさんでいきます。
そう考えると、複数人子供がいる場合は、子供が中学を卒業するまでにこの100万円を払ってしまうほうが無難ということになります。
もちろん、一家の家計に余裕がある場合はこの限りにありませんが、「100万は大金」と感じる一般的な家庭の場合は、計画的にことを進める必要があります。
さて、その100万円ですが、急に払えと言われると大きな金額ですが、子供が生まれてから毎月8,000円を積み立てていけば、12年経ったら元金だけでも1,152,000円になります。
世の中にはいろんな保険や貯蓄型の商品もありますので、「将来の歯列矯正」を見据えて積み立てするという発想を親御さんに持ってもらうことはこれからの歯科治療にとっては大切なことだと思います。
子供を持つ親御さんには子供の歯列矯正がいかにその子の幸せに直結した大切なことかを知ってもらい、早い段階から準備をしてもらえるよう知識を提供することが歯科医院としてできる地道な努力の部分です。
患者さんのデンタルIQを高め、予防や将来のための準備を実践してもらうことは、その人やその人の家族の歯をも守り、自費治療費を上げることに直結します。
もし、あなたの歯科医院が地域に根ざした歯科医院であればあるほど、12年後の営業をいまやる必要をぜひ感じてください。
もちろん、すでに子供は大きくなった、貯蓄に余裕もないという場合は、歯科医院としておすすめできるデンタルローンについてご案内するのがよいでしょう。
その際は医療費控除についても併せて説明があると安心感が伴います。
小児矯正の集患に向けた提案3:
歯列矯正の費用は子供が生まれたときから積み立て始めれば、無理なく準備することができます。
歯列矯正はそれだけの時間をかけて準備をする価値があります。
歯列矯正は、親が子供にできる最高の贈り物の一つ
大人になってから大変な苦労をしながら矯正をした人や、虫歯で歯を失うことになった人はきっと思ったことがあると思います。
- 「子供のころに矯正をしていれば」。
- 「子供のときに予防歯科のことを知っていれば」。
何十年もかけてその重みと価値を身をもって知るなんて、本当に馬鹿馬鹿しいことだと感じますから、「自分の子供には同じ思いをさせたくない」とも思うものです。かくいう筆者もその一人です。
子供が極端に嫌がる場合は別ですが、子供のころに歯列矯正を体験するというのは、その人の歯ライフにおいてはとても大事なことです。
親も子供もお金と時間とエネルギーをかけて矯正を行うと、その分歯を大切にします。
100万円かけて美しく健康に整えた歯を虫歯で失うほど馬鹿らしいことはありません。
また、そういった親の気持ちや努力は子供が大人になるほどによくわかるようになり、歯列矯正してくれたことへ感謝を持つ人が圧倒的に多いのです。
子供のデンタルIQを高め、予防歯科を続けていくことで、大人になってからも虫歯や歯周病で困らない歯ライフを送れることは、QOLつまり、その人の人生の質を高めることに大きく貢献します。
歯並びへのこだわりが並々ならぬアメリカでは、親は借金をしてでも子供に歯列矯正をさせます。この姿勢は日本も見習うべきところと思います。
家族での海外旅行の思い出や留学経験も子供にとっては貴重な体験だと思いますが、歯列矯正によって美しく健康的な歯並びを得て、その人らしい正当な自信と全身の健康とを手に入れることは、親が子供にできる何にも代えがたい最高の贈り物の一つです。
そのような価値観、視点で子供さんへの歯列矯正を親御さんへおすすめできれば、きっと歯列矯正の真の価値も届きやすくなるのではないでしょうか。
小児矯正の集患に向けた提案4:
小児矯正は親が子供にできる最高の贈り物の一つです。
子供が自分らしく自信を持って輝き、口腔内だけでなく全身の健康を保つために大いに貢献します。
きっかけを作り、小児矯正への敷居を低くする
さて、歯列矯正の価値について、子供を持つ親御さんへ伝えるべきことは十分にわかりました。
ではそうした知識をどのようにして伝えるかという点です。
一つは医院のブログとして掲載したり、印刷物やポスターにして待ち時間に読めるようにします。
もっとも確実なのは相談に来られた際に親御さんへ直接お話することです。
幸いなことに、歯科医院には実際に歯列矯正をされた患者さんが大勢いらっしゃいます。
地域に根ざした歯科医院なら、子供の頃に歯列矯正を体験した大人の患者さんもいらっしゃるでしょう。
こうした方々に日頃から「歯列矯正をしてよかった? どんな気持ちだっった?」といった生の声を聞いたり、簡単なアンケートに答えてもらい、そうしたリアルな声をお伝えすることはとても有効なことなのです。
歯列矯正に対して患者さんやそのご家族はいろんな疑問を持っています。
- 本当に矯正が必要なのか
- いつから始めればいいのか
- どのくらい時間がかかるのか
- どのくらい費用がかかるのか
- どんな方法があるのか
こうした疑問を気軽に解決できる機会を歯科医院側から提供します。
具体的には「子供の歯列矯正無料相談」や「初めての方の歯列矯正無料メール相談」などの窓口を設けて、積極的にコミュニケーションを取る機会を作りましょう。
最初は親御さんの治療のついでなどでも構いません。
歯科医院側は親御さんが矯正治療を考えているというニーズを捉え、相談者の側には、まずは歯列矯正が本当に必要かどうかという大前提の回答を得る機会にしましょう。
そして、必要ならば詳しい診察をするための予約を取ってもらい、次に進むようにします。
小児矯正の集患に向けた提案5:
小児矯正をしようか迷っている、少しは考えているという人にとって、なるべく気軽な機会や窓口を設けて、まずはコミュニケーションを取り、ニーズを確実に捉える。