歯科医院の集患におけるWebマーケティングは今や非常に重要となっています。
「苦労してホームページを改修した」「思った以上に良いデザインに仕上がった」
「…でもちょっと待て?そもそも何のためにコストを掛けてまでホームページを改修したんだろうか?」
歯科医院だけに限らずWebマーケティング全般にありがちの落とし穴は、「やったことの効果が良く分からない、結局何のためにやったのか良く分からない」のような事態になってしまうことです。
それは、そもそも「何をもって成功とするか」の基準、すなわちゴールが設定されていないから起こることです。
ゴールが設定されていないと成功の是非を判断することが出来ない、従って次に何をすれば良いのかも分からない、といった状況に陥ってしまう場合があります。
まずは歯科医院の目指すべきゴールを決める
そんな状況に陥らないため使用するマネジメント指標が、KGIとKPIです。
KGI
KGIとはKey Goal Indicator(重要目標達成指標)で、まさに目指すべきゴールです。
KGIはビジネス上の目標値として設定されるケースが多く、例えばネット通販の場合は売上高何%アップ、会員制サービスであれば新規会員登録数月何万件、などとして設定されます。
もう少し細かいレベルのKGIを設定するケースもありますが、通常は、今WEBマーケティングで解決するべきビジネス上の課題をKGIとして設定します。
KPI
KPIとはKey Performance Indicators(重要業績評価指標)で、KGIに対する中間的な目標を指します。
KPIの設定により目標を達成する過程の評価を行うことができます。目標の明確化や目指すべき方向の統一が期待できるでしょう。
そのため、KGIを達成するうえではKPIの適切な設定や評価が非常に重要となります。
歯科医院におけるKGIとKPIの具体例
少しシンプルにしたモデルを例にしてご説明します。
<前提条件>
対象の歯科医院(以下、A歯科医院)ではホームページ上で予約の空き情報を掲載しており、ホームページ上から直接予約(以下、Web予約)と電話にて予約が可能です。
<現状>
A歯科医院のホームページの閲覧数や予約数は下記のような状態です。(数値は月間トータルの値)
・閲覧数 100,000件
・Web予約数 50件
・電話予約数 50件
・Web+電話予約合計 100件
・Web+電話予約CVR 0.1%
・その他の予約数 100件
・総予約数 200件
・平均予約数/日 8件(1カ月25日営業で換算)
上からご説明します。
・A歯科医院のホームページは月間100,000回閲覧されています。
・50件のWeb予約、50件の電話予約があり、Webと電話の予約合計が100件です。
・「Web+電話予約CVR」のCVRはコンバージョンレートで、訪問者の中からどれだけの比率で予約に至ったかを表します。「Web+電話予約合計」100件÷「閲覧数」100,000件で、0.1%です。
・上記以外の予約(来院時など)が「その他の予約」で、100件です。電話予約の中にはホームページ以外の経路のものもありますが、ここではシンプルにするために「その他の予約」に含ませています。
・月間の全予約数が200件で、1日当りに換算すると8件になります。
〈KGIとKPIの設定〉
KGIを「月間の総予約数を200件から250件にする。」こととします。その場合のKPIは例えば下記のようになります。
・閲覧数 100,000件 → ★110,000件 >KPI(1)
・Web予約数 50件 → 75件
・電話予約数 50件 → 75件
・Web+電話予約合計 100件 → ★150件
・Web+電話予約CVR 0.1% → ★0.14% >KPI(2)
・その他の予約数 100件 → 100件
・総予約数 200件 → ★250件 >KGI
・平均予約数/日 8件(1カ月25日営業で換算) → 10件
来院時等の予約数は100件のままで変わらないものとしますので、Web+電話の予約数が100件から150件にしなければなりません。それを実現させるために、
・KPI(1) 閲覧数を現在の100,000件から110,000件に増やす。
・KPI(2) WEB+電話予約CVRを0.1%から0.14%に増やす。
上記の2つをKPIに設定します。
そうすると、閲覧数 110,000件×CVR 0.14% = 約150件となり、その他の予約100件と合わせて、KGIの総予約数月間250件を達成することができます。
言い換えると、ホームページを訪れる件数を10,000件増やし、ホームページを見て予約する件数を50件(0.04%分)増やすことを目標とすれば良いという事になります。
こうしてKGIを「より具体的な管理指標に置き換える」ことで、何をすれば良いのかも見えやすくなります。
それぞれの指標を改善する施策としては、例えば次のような例があります。
A歯科医院のWebサイト閲覧数増 ※KPI(1)
SEO対策、コンテンツ拡充、外部のSNSとの連携、ネット広告出稿などでホームページに呼ぶ込む数を増やす、などの対策が考えられます。
A歯科医院のWebからの予約率(CVR)の改善 ※KPI(2)
ホームページを訪れた方をWEBからの予約に誘導し、WEB予約に対するモチベーションを上げる必要があります。
従って、WEB予約ページの入口を分かりやすくする、WEB予約のメリットを訴求する、空き状況を見やすくする、予約操作を簡単にする、などの対策が有効です。
このようにKGI、KPIの設定と改善施策を行いますが、設定したKPIが改善されかたどうかを常時チェックすることを忘れてはいけません。
KPIの状況によっては実施する内容を修正していくことも必要です。
今回のまとめ
- WEBマーケティングを成功させるためには、まずゴールであるKGIを決めることが必要。
- KGIが決まれば、それを実現させるための具体的な道筋としてのKPIを定める。
- 継続的に効果を上げるには、施策実施の前後でKPIの変化を計測し、効果検証を行っていくことが重要である。
今回は、あまり話しが複雑にならないよう簡略化した例でご説明しましたが、実際にはもう少し複雑なモデルになるかもしれません。
しかし少し複雑になったとしても、各々のKPIをしっかりと設定し、そして管理していけば着実に効果が見えてくるでしょう。
一番大事なのは「最初にちゃんとゴールを決めること」つまりKGIを設定することだといえます。