2019.12.06

  • 医院経営

歯科医院が待合室づくりで考慮すべき5つの成功ポイント

厚生労働省が実施した調査によると、歯科医院を含めた病院の待合室での待ち時間に不満を感じている人が26.3%いるという結果が出ました。[注1]

こういった層を顧客として獲得するには、待合室で快適に過ごせる環境を整えること、いわゆる待合室づくりが患者満足度を高める対策として有効といえます。

予約診療を行っている歯科医院でも待ち時間が発生するケースも少なくないため、患者が診療までの時間を過ごす待合室は快適な環境になるように工夫することが大切です。

実際に待合室の環境が良い歯科医院は、患者からの評価も高くて満足度が高い傾向があるといわれています。

そこで今回は、歯科医院ならではの待合室づくりが必要な理由や、取り入れたいポイントを5つ紹介します。

[注1]厚生労働省:平成29年受療行動調査(概数)の概況・結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/10/dl/tp1009-1p1c2.pdf

歯科医院は待合室づくりが重要な理由

一般的な病院においても待合室づくりで大切なことは、待ち時間を快適に過ごしてもらう工夫をこらすことですが、歯科医院の場合は待ち時間以外にも配慮が必要な部分があります。

まずは、歯科医院における待合室づくりを重要視しなければいけない理由についても確認しておきましょう。

これからどんな治療をされるか不安を感じている

定期的に歯科検診などで歯科医院を訪れている方は慣れているかもしれませんが、虫歯になったときくらいしか歯科医院を訪れない方や小さなお子さんは別です。

待合室で過ごしているあいだ「ドリルの音が怖い…痛みがありそうで怖い…」などと、これから行われる治療に対して大きな不安を感じることもあるでしょう。

このような不安を感じさせないようにするためにも、待合室づくりが非常に重要です。

リラックスして診療までの時間を過ごしてもらえるような工夫を取り入れましょう。

他の歯科医院と治療内容で差別化が難しい

歯科医師や歯科衛生士などの技術力の高さを見極められる患者は少なく、「虫歯の治療をするだけならどの歯科医院でも同じ」と考える人も多いことから、他の歯科医院と治療内容で差別化するのは難しいものです。

しかし、患者が快適に過ごせる待合室づくりに関しては、工夫次第で差別化することは十分可能といえるでしょう。

どんな待合室なのかによって「患者目線で待合室の環境を整えているな」「患者のことはまったくお構いなしの姿勢だからこんなにひどい待合室の環境なのか」などと判断することもできます。

患者のニーズを満たせる待合室づくりを意識して満足度を高めることで、より多くの患者が集まるきっかけにもつながります。

歯科医院の待合室作り5つのポイント

弊社は多くの歯科医院様にお伺いします。
そのなかでも、

  • アロマが焚かれている
  • テレビが設置されている
  • 豊富かつ最新の雑誌が置かれている

といった特徴をもつ待合室は、患者さんがリラックスして待ち時間を過ごしている印象をもちます。

歯科医院の待合室づくりが重要な理由を踏まえた、ぜひ取り入れていただきたいポイントは以下の5つです。

1. アロマや音楽などのリラックスできる待合室

患者の不安や緊張感を和らげるためにもリラックスできる空間作りを待合室に取り入れるのがおすすめです。

アロマテラピーは天然精油の香りを生かして心身の不調を癒すために活用されており、医療現場では患者のリラックス効果を高める目的で活用されるケースが増えています。

リラックス効果が期待できる香りとしておすすめなのは、ラベンダーやゼラニウム、イランイランなどです。

日替わりでいろいろな香りを楽しめるようにすると、患者の楽しみも増えるきっかけにもなるでしょう。

また、リラックスできる1/f(エフぶんのいち)ゆらぎを取り入れた音楽を静かに流すのもおすすめです。

1/fゆらぎの音楽が流れている待合室で過ごしていると、リラックス効果が高まるだけでなく待ち時間が短く感じられるなどのメリットも期待できます。

2. 待合室を退屈せずに過ごせるようテレビや本を設置する

診察室に呼ばれるまでの待ち時間が長くなるほど退屈になり、余計に不安感が増してしまう患者も少なくないため、できるだけ退屈せずに過ごせる環境を整えておくことも大切です。

歯科医院の待合室にもテレビや本棚が設置されている例も多いですが、性別や年齢を問わずに退屈しのぎになる環境を整えているかという点です。

テレビ番組は性別や年齢によって好みが分かれるため、一般的なテレビ番組よりも歯の健康にちなんだ番組を選りすぐって流すようにするなどの工夫がおすすめです。

また、本棚に用意する本の種類についても、小さなお子さんから大人まで楽しめるようなさまざまなジャンルの本を用意しておくとよいでしょう。

3. 広々とした待合室のスペース

待合室が混雑してすべての患者が座れないような状況にならないよう、できるだけ広々としたスペースがあるとよいでしょう。

特に小さなお子さんはおとなしく椅子に座っていられないので、キッズスペースを用意しておくのがおすすめです。

ゆっくりくつろげるような大きめのソファや椅子があると快適に過ごせるので、診察の順番を待っている間も快適に過ごせます。

ウォーターサーバーなどを用意して自由に飲んでもらえる環境を整えておくのもいいですね。

4. 待合室を整理整頓された清潔な環境にする

待合室が乱雑な状況では患者がリラックスできる空間とはほど遠くなるので、整理整頓しやすい環境を作ることも大切です。

たとえば、待合室でスリッパに履き替える際には、専用のシューズボックスに収納してもらい玄関が散らからないようにしたり、スリッパは殺菌灯付きケースから出し入れしたり、清潔に使ってもらえるような工夫がおすすめです。

待合室の近くにトイレがある場合は、臭いがこもらないように換気に注意し、定期的に掃除をしてキレイな環境を整えることも大切です。

5. 観葉植物やインテリアなどで明るい環境を演出

待合室がどんよりして暗い雰囲気だと患者の不安感がさらに増す原因にもなるので、できるだけ明るい環境作りを心がけましょう。

日中は眩しすぎない自然光を取り入れられるように工夫し、暗くなってきたら間接照明などの柔らかい光で患者がリラックスできる環境作りを目指してください。

院内設備が古くなってくると壁紙や床が傷んでしまい、暗い雰囲気を助長する原因にもなるので、定期的に明るい雰囲気の壁紙や床にリフォームすることもおすすめです。

また、観葉植物を置いたり、明るい雰囲気の絵画を飾ったりして院内の無機質な雰囲気を明るくすることも大切です。

観葉植物はお手入れが難しいと思われる方も多いですが、週一回程度の水やりと、定期的な追肥、植え替えなどを行うだけでよいので、思っていたほど手間はかかりません。

葉のイキイキした緑色が患者にリラックス効果を与えるだけでなく、空気清浄・マイナスイオンなどの相乗効果で、より良い癒し効果を与えられます。

歯科医院に必要なポイントを押さえて快適な待合室づくりを!

歯科医院には「これからどんな治療が行われるの?強い痛みがありそうで怖い!」などと不安を感じている患者が訪れるので、リラックスできる環境の待合室作りを心がけなければいけません。

待合室の環境が良い歯科医院は患者の満足度が高くなる傾向があるため、患者目線でどんな環境が求められているのかをよく考えることが大切です。

特に取り入れていただきたい要素は、アロマなどでリラックスできる空間作りや退屈せずに過ごせるテレビや本の準備、広々して整理整頓された明るい環境などです。

患者さんに喜ばれる待合室を目指すことが他の歯科医院との差別化にも繋がるので、ぜひこの記事を参考にしていただき、快適な待合室作りを目指してください。

【参考URL】
https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/10/dl/tp1009-1p1c2.pdf ※64ページ
https://www.mdnt.co.jp/insight/mr/dentalclinic-satisfaction.php
https://otoraku.jp/column/st14/