歯医者の「キーン」という治療音――あの音がトラウマになっている患者さんは多いようです。
確かに治療自体がそれほど痛くなくても、あの音を聞くだけで痛みが何倍にもなるような気がしてきます…。
しかし、この不快な「キーン」音もドリル音が患者さんの歯科医院への足を鈍らせているのなら、それは「あるツール」を導入することで思いのほか簡単に解消できるかもしれません。
最近では治療中に患者さんの好きな音楽をヘッドホンから流すことで、治療音を低減しようとする歯科医もいらっしゃるようです。
しかし、そんな試みにも賛否両論あるようで「医師の指示が聞こえないのはいかがなものか」と懸念を抱く歯医者さんも少なくないようです。
そこで新たにこの流れで注目を集めそうなのが「ノイズキャンセリングヘッドホン」です。
今回は某家電量販店にてヘッドホン売り場の担当者に聞いた、最新のノイズキャンセリング機能と、実際に治療音がどれほど消えるのかを検証した結果をレポートします。
某家電量販店のプロに聞いた、おすすめノイズキャンセリングヘッドホンと歯医者における「キーン」音の抑制について
(以下、家電量販店員へヒアリング)
Q.最近よく耳にしますが、そもそもノイズキャンセリングヘッドホンって一体どういったものなのでしょうか?
周りの騒音を低減するために作られたヘッドホンです。比較的騒音の多い、飛行機や電車の中で使われることが多いですね。
周りのガヤガヤとした音を消し、かつ人の声はそのまま残すといった、特殊な空間を作り出すことができます。ヘッドホンタイプだけではなく、イヤホンタイプのものもあります。
様々なメーカーがノイズキャンセリングヘッドホンを開発しています。
Q.なぜ、人の声は消えないのですか?
ノイズキャンセリングに関しては、中音域は消してはいけないという決まりがあります。
中音域を消してしまうと、外で使うのが非常に危険になりますので。人の声は中音域に含まれているのでほとんど消えません。
Q.なるほど、雑音を選択的に消しているわけですね。どのような仕組みで動いているのでしょうか?
周囲の雑音をヘッドホン内臓のマイクで拾い、それと逆の波形を生みだすことで、音を打ち消すというようなことをヘッドホンの中で行っています。
ですので、基本的にヘッドホン自体は電池式だったり、充電式だったりといった形になっていて、ボタンでオン・オフを切り替えられます。
Q.いま人気のノイズキャンセリングヘッドホンはどれでしょうか?
ノイズキャンセリングの機能が一番強いと言われているのがBoseのBose QuietComfort 25(下の写真)です。多くのお客様に、このヘッドホンの効きは強いと好評をいただいております。
Boseは元々飛行機のパイロットが装着するノイズキャンセリングヘッドホンの開発をしていましたので、この技術を先駆けて開発していたメーカーだけあって、やはり品質には定評がありますね。
ノイズキャンセリングに定評のあるBoseのQuietConfort 25(¥35,000)です。
びっくりするくらい音が消えます!
Q.値段が高ければそれだけノイズもカットできると考えても良いのでしょうか?
そうですね、ただ、ノイズキャンセル機能に加えて、音楽のサウンドも値段に関わってきますので、一概にはそう言えないかもしれません。SONYさんの音が好きという方はSONYさんのヘッドホンを選ぶお客様もいらっしゃいます。
Q.歯医者で「キーン」といった治療音を抑制するためにノイズキャンセリングヘッドホンが使われているのですが、治療音を消すことは出来るのでしょうか?
歯の治療とのことですので、歯の振動によって内部に伝わる音は消すことは出来ないでしょうが、歯医者の「キーン」という音はある程度の低減が可能だと考えられます。
ただ、音を完全に消すというよりも、低減するようなイメージですね。
本当に歯医者の「キーン」音が消えるのか検証してみた
ということで、どのくらいノイズキャンセリングヘッドホンは歯の治療音を低減するのか実験してみました。ところでYouTubeにこんな動画があるのをご存知でしょうか?
※【YouTube動画】音フェチ In a dentist 歯医者で虫歯治療
7,000再生以上も稼いでいるこの動画は歯の治療音だけを流すというユニークな動画です。
この動画とBoseのノイズキャンセリングヘッドホンを使い、本当に治療音が聞こえなくなるのかエムハンド社内で確かめてみました。
限定カラーのスペシャルエディションモデル!(¥35,000)
実験に際して歯科治療の音が苦手なスタッフを調達しました。
ノイズキャンセリング機能をオンにし、ヘッドホンを装着してもらいます。まずは、ヘッドホンに音楽を流さない状態で、治療音が聞こえたら手を上げてもらいます。
やはり、「音楽なし」状態では聞こえるようです。しかし音量は低減されているとのこと。
次にヘッドホンに音楽を流して同じような検証を行いました。
・・・手が上がりません。部屋には治療音が響きわたっています。では、音量を最大にしてみましょう。
・・・微妙に手が上がりました。部屋には大音量の治療音がこれでもかというほど鳴り響いています。
被験者となったスタッフに使用感を聞いてみると、
「音楽を流した状態だと治療音は確かに聞こえるものの、その音量はかなり抑えられ不快感もほとんどなくなっている」
とのことでした。また音楽を流していても人の声は聞こえるようで、ノイズキャンセリングヘッドホンをつけたまま被験者と意思疎通することが可能でした。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ノイズキャンセリングの最新事情と、その治療音に対する検証結果をご紹介しました。キャンセリング機能を重視するのであれば、Boseのヘッドホンが今は定番のようです。もちろん、どのメーカーのヘッドホンでもノイズは激減します。
また実験してみると、あの「キーン」という治療音は確かに小さくなり、不快感も激減しました(※個人差あり)。まだまだ歯科医療現場での導入事例は少ないですが、歯科医院専用のノイズキャンセリングヘッドホンもあるそうです。
いずれにしてもよりよい患者さん用のヘッドホンを探すのは楽しいものです。歯科医の方は是非参考にしてみてください。